+ 伝えしは君への愛、囁くこと +



叫ぶ必要などない ただ囁き続ければいいだけだ 君への愛を




 どこに叫びをあげる必要があるのだろう。
 君との距離はこんなにも近いのに。
 その耳元に囁く以上に、その唇に触れることさえいとも簡単。
 その意味を君に正しく伝えるのが難しいだけであるのならば、ただただ伝え続けよう。
 君への愛を、何度でも、何度でも、伝え続けよう。

 どうして叫ぶ必要があるというのだろうか。
 君との距離はこんなにも近いのに。
 ただ君の心があまりにも遠く、叫んだところでちっとも届きやしない。
 必要なのは忍耐だ。執念だ。
 何度も何度でも、君が嫌がるくらい、僕が君を愛しているということを伝え続けよう。
 何度でも何度だって、繰り返してやる。

 君に。

 他の誰でもない、君に。

 その左手のために。
 その左目のために。
 愛されることを、愛することを。
 少女としての異性との恋愛を諦めたはじめた小さな君。

 エクソシストとして体を鍛え、己の左の手を見ては、左の目で見ては、白く染まった髪を見ては。
 自分には、少女としての魅力などないと溜息をつく君。
 何も知らない君。

 その小さな体で。
 その震える心で。
 いったい、どれほどの涙を受け止めてきたのだろうか。

 ねぇ、僕に君を抱きしめさせて。
 君の小さな体を。
 君の震える心を。
 包み込んで暖めるから。

 まだ恋さえ知らぬ君の、そのまっさらな心が、僕でいっぱいになればいい。
 悪魔を見分けることに価値を見出したその瞳が、僕の姿ばかりを追い駆ければいい。
 その白い髪に触れていいのは、その白い肌に触れていいと君が思うのは僕だけで。
 僕が君に触れることを、君もまた心地良いと感じてくれたなら。
 そして、君のその腕もまた、僕を抱きしめるためにあるのなら。


 ああ、どれほど幸せなのでしょう。


 まだ恋さえ知らぬ君。
 にもかかわらず、愛を諦め始めた君。
 君に恋を、愛を。異性としての温もりを教える最初で最後の男に、僕はなりたいのだ。
 そう云って、君はほんのりと頬を染めて。
 けれど、まだ頑なに閉じた蕾のような心はそのまま。
 僕を疑って、何よりも自分自身について卑下してる。

 ねぇ、君は愛らしいんだ。
 その小さな体が軽やかに舞う姿も。
 その震える心が猛り、涙する様も。

 むしろ、これは幸い。
 君の愛らしさに、誰も気がつかないのであれば。
 いいや、気がついていながらに、それを君に伝えていないのであれば。
 君自身が、その魅力を知らずにいるままであるのならば。
 僕は、何度でもそれを伝えればいいだけなのだから。

 愛してるなんて言葉、誰にだって伝えられるけれど。
 たとえば、それが君を哀しませ、傷つけたとして。
 本気で愛してるのは君だけだと、僕は僕に誓える。
 そして、そうできるのは君への愛だけ。

 たとえ誰が許さずとも。
 たとえば君さえ認めてくれずとも。
 僕の君への愛は真実。そして誠実。
 切実なまでに滑稽で一途。

 たとえばそれが許されぬことであると君が云い、誰に誓うことさえも許されないのであれば。
 それでもかまわない。
 誰に誓えぬ愛であるとして、なぜ誰もに誓わねばならぬというのだろうか。
 僕の愛は君へのもので、けれど、その気持ちは僕の一方的な、僕だけのものなのに。

 誰にも誓えぬ愛であるとして。
 君さえも認めてくれぬ君への恋情だとして。
 まったくかまわないこと。
 そもそも。誰の赦しさえもいらないこと。

 誰がなんと云おうとも、僕は、君に恋してる。

 誰に誓えずとも。
 誰もが認めぬとも。
 本気の愛はこれだけ。
 君へのこの愛だけだと、僕は断言できる。自信を持って。確信を持って。
 絶対だと。

 なぜならば。
 僕の心が傷つき、悲しみに染まり。
 立ち上がることさえできなくなることがあるとするならば。
 それは、すべて君にその原因が起因してるだろうから。
 君に嫌われ、君を傷つけ、君が哀しむ。
 他の誰がそうなろうとも立ち直れる図太い僕の精神を唯一再起不能に落ち込ませる君の存在。

 こんなのは君にだけ。
 こんなに苦しいのも、切ないのも、我侭なのも、しつこいのも、諦められないのも。
 ぜんぶぜんぶ、こんなのは君にだけ。

 君しかいない。
 僕にはもう君しか写らない。
 君しかない。
 僕のこの身の内にあるすべての愛を傾ける存在は、もう。

 だって、僕は君を見つけてしまったし、君は僕に見つかってしまった。
 つまり、僕らは出会ってしまった。
 そして、僕は君に心奪われた。
 僕の全部全部、すべて、君に攫われて、囚われの身だ。

 だから、僕はいくらでも囁くことができるし、いつまででも伝え続けることができる。
 君がどれほど魅力的な、素敵な少女であるのかを。
 君への愛を。
 君に。

 永遠に。




誰に誓う必要もない 認めも赦しもいらない だってこれは君への「僕」の愛




----+ こめんと +----------------------------------------------------

 初Dグレ。初ラビアレ。初めてでまたもやいきなり女体化。我慢できなかったんです。萌えすぎて。
 まあ、別に女体化だと言い張って裏に置く必要性はまったくない話なんですけどね。それ以前にラビアレだとあらかじめ提示しておかないと誰が誰に向けているのかすらわからない。むしろ詩?!
 でもこういう独白っぽいの大好きなんですよ、私(←知らんわい)。
 タイトルが微妙です。「伝えしは君への愛」と、「愛、囁くこと」という感じで読んで下さると嬉しいかと。

 ご意見ご感想お待ちしております_(c)ゆうひ_2005/03/27

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