ぽちポチ
ボクを抱いてくれる暖かいそれ 生きてるというらしい 暖かいことはその証 ボクを抱いてくれる暖かいそれ それはボクの事を「ポチ」と呼ぶ どうやらボクの名前らしい 名前 それはボクを表すもの ボクは「ポチ」 ――ほんとうにそうなのかなぁ―― お日さまが昇ればボクの一日が始まる 生まれたてのまだ真っ白なお日さま お家から出てお話をする 朝の挨拶 一日の笑顔 ――おはよう―― お日さまが生まれてきた方向へと足を運ぶ てくてく てくてく 歩いていく 朝のお散歩 ボクとは違う言葉を話す ボクと同じ生きているそれ ボクは行くことが出来ない空へ 高く飛ぶ小さなそれは ボクと話す言葉が違っていて その意味を理解する事は出来ない けれど気持ちは伝わるよね ――だいすきだよ―― お家に戻る お家の前には食べ物が置いてある とってもおいしい でもこれってなんだろう? 分からないけど食べる お腹が空いてるから それに ――おいしいからいいや―― お日さまが一日の内で一番高い所に昇る その少し前 もう一度歩く てくてく てくてく 今度もお日さまに向かって この道は他の所とは違う 色が違う 固さが違う そして時々変な模様がある ――これはなんだろう?―― 昨日はお空から水が降ってきた 「雨」って云うらしい この道は他とは違う 水に濡れるとぐにゃりと柔らかくなる 変な模様は僕がいつも歩く所についてる ――だれがつけたのかな?―― 綺麗なまあるい石に囲まれた 大きな大きなお花畑 いつもここには黄色い大きなお花が咲いている ボクの頭の上 凭れるようにボクを見下ろしてくる まるでお日さまのよう ボクがここに来るようになって10日 今日はいつもと違う ――なんかげんきがないよ―― お花はすっかりしぼんでしまって 風はどんどん冷たくなる 木々の葉っぱはどんどん少なくなって 色を変えて ――落ちてくる 空から舞うように落ちて来る紅い葉っぱ 一緒に落ちてきた物 葉っぱよりずっと固くて ずっと小さい とっても可愛い ――たいせつにしよう―― ボクの宝物ができた ボクは宝物を地面の下に埋めた 誰にも内緒 ボクの宝物 宝物を埋めて300日 そこには小さな小さな葉っぱがある 緑の小さなそれは 小さいけれどきちんと地面の上に立っている ボクの宝物 もう掘り出せないね でも これはどこから来たんだろう? 全てはどこから来たんだろう? ボクはどこから来たんだろう? お花はどこに消えてしまったんだろう? 落ちた葉っぱはどこへ行ってしまったんだろう? ボクは「ポチ」 本当に? ボクはどこから来たの? そして ――ボクはどこにいくの?―― まだ何も分からない それでもボクは生きてる みんな みんな生きてる 暖かいことがその証 |
みんなみんな
どこから来て
どこへ行くの
そして
いったいなんだろう
おわり
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随分昔(?年前)に書いた絵本を少し手直し
全てはどこから来て
どこへ行き着くのでしょう
暖かいことは生きているということだと思います
自分が暖かく
自分以外にとっても暖かく
自分以外も暖かく
生きると云うことと生きていると云うことは
微妙に違いますがどちらも暖かいといいな…とか
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モドル