家族の生活
--夜の風景--
キミはどこへ? ボクはどこへ? ボク達はどこへ? |
もう陽も暮れる頃。 お仕事が漸く終わり、お家へ帰る人々が溢れる時間。 「とうさま〜、はやくかえろ〜」 せがむように手を引かれて、劉鳳は苦笑しながら歩いていた。その隣りには、やはりこちらも苦笑しながら歩いているカズマの姿。 頭の後ろで手を組み合わせ、劉鳳と劉籟の飽きもせず刳り返される様子を横目に見ている。 見れば周りにいる他のHOLYの面々が。 苦笑交じりの、しかし暖かい視線が注がれるのは、彼からが人々から愛されている証。 だからこそ、この幼い少女が毎日毎日通って来れるのだ。 しかしそれとこてとはまったく別。 いくら愛されていることを感じていても。 居心地の良い場所だろうとも。 退屈なものは退屈。 疲れるものは疲れる。 熱しやすく冷めやすいのだろうか? 一ヶ所にじっとしていられないのは母親譲りか幼さゆえか。 一人娘に手を引かれ、仲良し家族は家路につく。 「とうさま、かあさま。らい、おとうとかいもうとがほしい」 家に帰って突然云われた言葉。 急にどうしたんだ?と、劉鳳とカズマはハテナマークを浮かべて顔を見合わせる。 訊ねれば劉籟曰く。 「きょうだいがいたらいっしょにあそべるもん」 HOLYには劉籟のことを邪険にするような人間はいない。だが、そこには劉籟と近い歳の子供がいない。 つまり、この少女は歳の近い友達と遊ぶ機会が滅多にないのだ。 時々、母親に連れられて公園に行き、そこで初めて会うに等しい子達と遊ぶ。それも本当にたまにあるくらいなのだ。 学校に通うようになればまた違うのかもしれない。 わざわざ今から勉強など始めずとも、その時になってからでも良いのかもしれない。 HOLDに通うにしても、自分の仕事が終わるまで待っているのでなければ、もっと遊ぶ時間も増えるだろう。それはそれで…かなり淋しいが。 しかし娘のことを考えれば―――。 と、なんだかいろいろと難しい顔をして考え込んでいる劉鳳を尻目に、カズマは劉籟の前にしゃがみ込んで目線を合わせる。 それから口を開いた。 きょとんとした二つの表情が向かい合う。 「ライ、今日一人で寝るか?」 「!なんで?!」 「カズマ?!」 劉籟と劉鳳はそろって驚きに声を上げた。 劉籟は今は父親である劉鳳と、母親であるカズマと共に寝ている。 「らい、そんなのやだ!」 まだまだ両親の温もりは恋しい年頃。 一人で寝るのは怖いし、淋しい。 少し前までは、劉籟が寝入るまでは部屋の電気は付けたままだったのだ。 「だろ?オレも劉鳳と二人っきりで寝るのやだし」 「カ、カズマ!?」 カズマの言葉におおいにうろたえる劉鳳。 いったいなぜに?! 「なんでらいがいっしょにねるのだときょうだいだめなの?」 「疲れるから」 「なんで〜?」 「う〜ん…なんでだろ?やっぱ、ガキ一人できるからか?」 劉籟の疑問に、カズマも一緒になって考える。 「うん。きっとそうだろ。あのな、ライ。生きてないもん作るのも、すっげぇ大変だろ。ライは生きてるから、だから生む時はすっげぇ疲れたんだよ。それと同じだ」 「らい、つかれる?」 「疲れるぞ。でも、それでも嬉しいくらい大好きだけどな」 そう云って、カズマは劉籟を抱き締めた。 母親が自分を心から愛し、慈しんでくれていることを感じ、劉籟は嬉しさに笑顔を全開にして、カズマに抱きついた。 父親仲間外れ。 淋しいと思いながらも、劉鳳はそんな二人の心温まる様子を、微笑で見つめていた。 「じゃぁ、つかれるから、だめなの?」 「そういうこと」 「らい、ひとりでねても?」 「だから、それはオレが嫌なんだって」 ライだって嫌だろ? 「うん」 「カズマ…」 カズマの言葉に劉籟はとりあえず納得して頷き。劉鳳はかなり精神的に落ち込んでいる。 さてさて。 こうして夜も更けていく。 |
ぼくらの未来はどこまでも |
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昼からの続きで夜です。とりあえず終わりです。
始め考えてたのと、少し話しが違くなった気が…。
そしていつもより微妙に短い?!(爆)
ところで劉籟は厳密にはいくつなんだろう?
実はなんにも考えていないです(たぶん5才くらい)
後は何が残ってるかな?…夫婦の生活でも書くか?(嘘)
とりあえずこの話しはこれで一区切りです。
長らくお付き合いいただきましてありがとうございます。
気が向いたら(ネタが浮かんだら)また書くかもです(笑)
その時はよろしくお願いします(←図々しい/汗)
ご意見ご感想など頂けると嬉しいです。
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モドル