+ 家族の生活 2nd +
--始まりの日--
惜しみない愛で
包まれていると
いつだって感じています
劉籟はどきどきしていた。 今か今かと待ち続けていた。 隣にはやけに落ちついた表情で佇んでいる父親。 その胸中が実は劉籟自身よりも不安と緊張に張り詰め、取り乱していることを、彼女は知らない。 過去の陰惨なる事件によって形成された劉鳳氏の無表情(彼の愛する奥様にとっては表情豊かになるらしい)は、今になって父親としての尊厳を守ることに役立ったようであった。 しかし今回、とりあえずそれは置いておき。 話しは戻る。 ここは白く清潔な病院。の、分娩室前。 中では劉鳳氏の奥様で劉籟嬢の母親であるカズマが彼女にとっては二人目のお子様を出産中。 父親である劉鳳はカズマに「劉籟を見てろ」とのご命令を頂き、室内に入ることはできない。もしカズマの命令を無視して入ろうものなら、間違いなくカズマに三行半を突きつけられる事だろう。 さてはて。 どきどきと心臓を高鳴らせて取り乱している父と娘を他所に、突然静寂を割って響く赤ん坊の鳴き声。 劉鳳と劉籟は揃って分娩室に駆け込んだ。 やはり親子である。 「おめでとうございます。元気な男の子ですよ…」 看護婦さんが微笑んで云い、劉籟は「おとうとができた〜」とはしゃぎ、劉鳳はもちろん愛する奥様に労いの言葉。 しかし喜びに浸っている二人は気が付かなかった。 看護婦の微笑が引きつっていることに。台詞の最後に言いよどむ何かがあったことに。 「ねぇ、みせてみせて」 劉籟は父と母の元に駆け寄り、母親の隣に寝かされている赤ん坊を覗き込む。 「うゎぁ…ちっちゃい……」 自分よりも小さな手足を持つ赤ん坊に、劉籟は興味津々だ。どきどきしながらその小さな手に触れて、その温もりを感じ嬉しそうに笑う姿は、自分の娘だという事を抜きにしてもかわいいと劉鳳は思う。 「あっ、お母さんと目の色おんなじだ」 赤ん坊はどうやらカズマにであるらしい。 赤茶の髪は劉籟と同じ。しかし、瞳の色は劉籟や劉鳳の深紅とは違った明るい琥珀色。 顔立ちも、どちらかといえばカズマに似ているように思う。 そして極めつけ。 「ねこさんのみみ〜♪」 劉籟は嬉しそうな笑顔をそのままに、謳うように云った。 そう。 劉家長男として誕生したばかりのこの赤ん坊。 耳がふさふさ猫耳だった。 お医者様や看護婦さんが顔を引き攣らせる中、そんなことまったく気にしていない、穏やかに微笑み合う、理想的とも云えるような暖かな家族の風景がそこにはあった。 「カズマ。身体の方はどうだ?」 「あ?んなの大丈夫に決まってんじゃん。2回目だし」 とは云ってもやはり出産とは女性にとっては命がけ。さすがのカズマもまだ顔色が悪い。 そういえば、生まれたら直ぐに連絡を寄越せと多方面から云われている。 たとえば父の劉大蓮。幼馴染の桐生水守。あとは同僚のシェリス=アジャーニやストレイト=クーガー。橘あすかや瓜核、イーリャン。はては隊長のマーティン=ジグマールまでも。 だがしかし。 こんなに疲れた様子の妻をほおって連絡の為に出ていくなどと云うことが許されるのか?いや、許されない!(反語)!というか、傍を離れたくない!!(本音) よって連絡は後日まとめてすることに決定。 「ふにゃ」 赤ん坊が小さくぐずったように身を動かし、その小さな声にお互いを見つめていた劉鳳とカズマがそちらに顔を向ければ。 それまで嬉しそうに赤ん坊の柔らかな頬をつついていた劉籟が、驚き慌てて手を引っ込める姿。 思わず笑みが零れてしまうのはどうしようもなくて。 ああ・・幸せだな〜。とか、今更しみじみ思ってしまう。 今日、この日から。 四人家族になりました(劉大蓮は無視されたらしい/憐) 新しい家族との始まりの日。 未来はまだまだ続いてく。 そしてこれは確信。 ずっとずっとこれからかも、絶対に幸せ。 だって、私達はこんなにも、愛に包まれているから。 それを知っているから。 こんなにも愛しているから。 だから、幸せでないはずがない。 ねぇ、そうでしょう? |
愛されていると
こんなにも愛に
包まれていると
知っているのです
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だって弟が書きたかったんだもん(爆)しかも猫耳さ!!
調子に乗ってまた書いてしまいました。この「生活シリーズ」書きやすくって(笑)
最近裏の更新とっても滞っています。ごめんなさない〜。
今回短いです。しかもきっといろいろ間違い多いことかと(汗)
ところで。劉籟の時同様、名前が決まりません。
誰か素敵な名前を下さい〜(泣)掲示板かメールにて募集。
アンケート設置するのは面倒臭い…(核爆)
こんなんですが、ご意見ご感想など頂けると嬉しいです。
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モドル