明日また会いたい





















また会いたい

いつだって会いたい

だってそうでしょう?

大好きなんだから


























 カズマは大きな欠伸と一緒に伸びをした。
 固くなっていた身体がほぐれていく。

 時刻はもう昼も随分過ぎた頃。
 窓から射し込む日の光は朝のそれとは違ってあまりにも強く輝いていた。

「ん〜?」

 カズマはぼんやりと周囲を見回した。
 簡素で清潔な部屋。
 ゴミや埃など無いように思えるその部屋を見回して、カズマは眉を顰めた。

(どこだ?…ここ)

 いまだ寝ぼけて上手く働かない頭で。それでもどうにか答えを出そうと、カズマは上目遣いに考える。

 浮かんできたのは昨夜のこと。

 昨夜は所用により市街に出向いていた。
 用も済んでふらふらと市街の中を歩いていると、急に背後から声を掛けられた。

 聞き慣れたその声に嫌な予感を抱きながら、それでもゆっくりと振り返ってみると。

「劉鳳…」

 予想通りの人物がそこにいたことに、カズマは半眼になってうめいた。

「何だ、その反応は」

 劉鳳が云えば、カズマは顔を顰める。

(なんだ…って、聞くか?普通?)

 胸中でうめくように呟いた。
 自然、顔が苦々しいものへと歪められてしまうのを止めることができない。

 カズマの表情を見て、劉鳳は口をへの字に曲げた。
 自分と会うのはそんなに嫌なことなのかと。
 気づかれないように、それでも劉鳳はかなり傷ついたりしていた。

「別に…。それより、なんか用かよ」

 カズマはとりあえず言葉を紡いだ。

「いや。お前の姿が思いがけず目に入ったのでな…声をかけた」

 劉鳳はさらりと云う。
 そんな彼の態度と言葉に、カズマはぽかんと口を開けて、暫し呆然と劉鳳を見つめていた。

 なんというか…呆れて言葉も出ない。
 心なしか頭が痛くなってきたのは気のせいだろうか?

「お前…一応俺達って敵同士じゃなかったか?」

 額を抑えながら、カズマが溜息と共に吐き出した。
 敵対関係にある者にさらりとした態度で声をかけるか?普通…。

 どこで誰の眼があるともしれないのに…。

「分かっている…。だが…もう随分と会っていなかった・・…」

 疲れたように云うカズマに、劉鳳はどこか思い詰めたような声音でそう云った。

 カズマはそんな劉鳳の声に、瞑っていた目を開き、下げていた顔を上げる。
 きょとんとしてから…ふわっとやわらかく微笑んだ。

「ああ…そういえばそうだったっけな」

 やわらかなカズマの笑みに、劉鳳は瞬間見惚れて…それでもすぐに我に返る。赤くなっているだろう顔を見られたくなくて、幾分俯いて言葉を発した。

「何か・・・用があるのか?」

「うんにゃ。もう終わって、これから帰ろうと思ってたとこ」

 劉鳳の言葉にカズマが答えれば、二人は並んで歩き出す。

 何も云わないけれど…。
 分かっていた。
















「……」

 カズマは腕組みして考えて…思い出した事実に捻っていた頭を元に戻した。

 よくよく見なくてもすぐに分かる。
 カズマが居るのは白いシーツのかかるベットの上。

「…起こせよ……」

 カズマは半眼で呟き、姿の見えないこの家の主人を探すためにもベットから起き上がった。

 ベットサイドに置かれた自分の衣服を手に取りその身に纏う前に、シャワーを浴びなければならないだろう。

 もしかすれば、この家の主人。
 碧い髪の恋人はそこに居るかもしれない。

(いや…あいつはもう仕事か?)

 自分の考えを胸中で否定してからそれでもその人を捜してしまう自分に苦笑する。

(重症だなぁ…)

 昨夜の彼の表情を思い出す。

 切羽詰まったような。
 路頭に迷った子供のように頼りなげで…それでいてある種の抑えがたい欲を持って自分を見つめていた。

 ――もう随分と会っていない――

 そうだった。
 恋人としてはもちろん。
 敵としても会っていなかった。

 きつくきつく抱いてくるその腕と、熱く触れてくるその唇を思い出し、カズマは顔が熱くなるのを感じ、一人で慌てる。

 誰も居ないのであれば別に隠す必要も無いのだが、火照る顔に手を置いてしまうのは何故なのか?

「かなみ…怒ってるかなぁ……」

 照れ隠しに呟いた。

 陽はもう空高く昇り。
 時刻は昼をすぎるだろう。

(…時々は会いに行くか…)

 たまに会ってこれでは身が持たない。
 会えなかった時間を全て埋めるかのように抱いてくる彼(か)の人を思い出し、カズマは胸中で溜息をつく。

 自分の身を心から心配してくれているであろう同居中の少女には申し訳ないとは思うが、どうも今すぐには帰れそうも無かった。

 心の中で謝罪をしながら、カズマのその姿はもう良く知ったシャワールームへと消えていった。















 敵同士でありながら、二人がこんな関係になったのはどうしてか。
 時々考えてみるが、答えは一向に出ないのでもうとうに考えるのを止めた。

 考えても仕方がない。

 本当は初めから分かっていた事だけれど、納得するのにはそれなりの時間を要したりもした。

 敵として会う。

 心が求めるいると気が付いて。
 それは二人同じで。

 市街と荒野。
 その間のような所で出会った。

「何をしている?」

「てめぇこそ…」

 会えば出る言葉は相変わらずで、それでも伝えなければならない事があると心が訴えて止まない。
 時を告げる鐘のように五月蝿く、人を焦らし響く。

 なんと云っただろうか?

 自分は。
 相手は。

 恋人になったのはそれから少し後のこと。
 身体を繋げるようになって、もう離れられないと思う。
 互いに。
 そう願っているのは自分だけだろうか?


























明日は自分から会いに行こう

君に会えなくて顔を顰めるのではなく

自分から君の元へ訪れようと思う

好きだから

どうしようもなく愛しているから

毎日会いたいと思うのは仕方のないことだろう?


































明日、君にまた会いたい。


























--------------------------------------------



なんじゃら?
これはいったいなんじゃら?
なんじゃらとはなんじゃら?(爆)

ええっと…劉カズです…一応。
まぁった、消化不良起こしたような駄文で申し訳ありません。
もうコメントのしようも…(泣)

では!(←書き逃げ)



-----------------------------------------------
modoru----