ある休日の日に




















今日はお休みだし…。































 劉鳳は自宅のリビングのソファに腰掛けて、大して興味もない雑誌に目を通していた。

 いつもであれば仕事関連のファイルでも開いているところだが…生憎それもない。
 完全な休日だった。

 バタン。

 扉が開かれる音と共に隣の部屋から顔を出したのは紅い髪に琥珀色の瞳の少年――カズマである。

 時刻はもう昼。

 あふぅ…と、いう欠伸をしながら、カズマはそのまま、とてとてと劉鳳の元へとやって来ると…そのままポテッとその膝を枕代わりにしてソファに寝こけた。

「…おい、何をしている」

 カズマの枕…もとい劉鳳が呟く。

 ん〜?と目をこすりながらカズマはぼんやりとした寝ボケ眼(まなこ)で、劉鳳を見上げる。

 劉鳳を、彼の膝の上に頭を置いたまま下から覗くカズマの琥珀色のその目は、どう見ても夢の中をさ迷っていそうだった。

「眠い…」

 ぽつりと呟き、カズマはそのまま再びその瞳を閉じた。
 すぐにすーすーという小さな寝息が聞こえてくる。

 劉鳳は顔を顰めた。
 眠いのならば、まだ寝室で寝ていれば良いのにと思う。
 なぜ、わざわざリビングにまで来て…しかも自分の膝を枕にして眠る必要があるのか。

 でも…。
 と、劉鳳は視線を自分の下方へと向ける。

 そこにはすやすやと安心しきった顔で、気持ち良さそうに眠っているカズマの表情。

 劉鳳は自然とその顔が緩むのを止めることが出来なかった。
 それは彼に好意を抱く女性が見ればとろけるようなものだった。
 暖かくて…優しい微笑。

(たまには悪くない)

 いつもは野生の獣のように警戒心丸出しの、強く激しいその表情がまるで嘘のように。
 健やかに眠るカズマのその寝顔は、とても可愛らしい物だった。

 庭へと続く窓からは暖かな日差しが入り、眠るには実に心地良いだろう陽気だ。

 劉鳳はそっとカズマの髪を撫でる。
 少しくせのあるその髪は存外にやわらかく、日差しと交わり実に暖かく気持ちが良い。

 劉鳳は再び、その顔の表情をやわらかな微笑へと変えた。
 彼の寝姿を見るその褐色の瞳はどこまでも温かく、その表情は愛しい者を見守る優しさに満ちていた。

















「で、結局なんでわざわざこっちにまで来て寝たんだ」

 劉鳳が訊ねた。
 カズマは未だぼんやりとした瞳をしていたが、今度ははっきりと目覚めている。

「ん〜?」

「眠いんだったら寝室でそのまま寝ていれば良かっただろう」

 陽はもうとうに落ち、地平線に僅かにあかい光りが射すばかりだ。
 劉鳳の問い掛けに、カズマはそちらに顔を向ける。

「ソファなんかで寝るから、身体が痛くなるんだ」

「…んなこと云ったって……」

 カズマはそう云って唇を尖らせて見せたが、劉鳳に視線だけで睨まれて、仕方ないとでもいうかのように口を開いた。

 まるで叱られて不貞腐れた子供のようなその態度に、劉鳳は胸中で苦笑する。

(本当に子供だな…)

 けれどそこがまた可愛いなどとは…口が裂けても云えない。
 劉鳳としては云ってもなんらかまわなかったが、カズマの耳に入れば彼が怒ってどうなるか…考えただけでも面倒そうだ。

 劉鳳がそんなことを胸中で一人考えていると、カズマはようやく口を開く。

「…あったかそうだったから……」

「暖かい?」

 カズマの言葉に、劉鳳は眉を顰めた。
 暖かいというのであれば、寝室のベットの中の方がよほど暖かいではないか。

「たまたまちょっと目が覚めて…そしたら部屋真っ暗でさ…。でも劉鳳いないし」

 寝室ではまだカズマが寝ているからと、劉鳳はカーテンを開けていなかった。カーテンの掛けられた部屋というのは、昼であっても案外暗く感じる。

 夜中だと思うほど暗くはなかったが、しかし今まで自分の隣にあったぬくもりがなくなっていることに気が付いて、カズマはベットから起きだしたのだった。

 部屋の扉を開けてリビングへ出てみると、そこは眩しいばかりの陽の光りの海の中。
 その中でやわらかなソファに座る劉鳳が目に付いた。

「…だから……」

 それきり俯いて黙り込んでしまったカズマに、劉鳳は目を細める。
 なんのことはない。
 カズマは劉鳳のぬくもりを求めていたのだ。

 だから劉鳳は微笑んだ。
 カズマを抱き締めてやる。

 そうすれば、カズマは瞳を閉じて、その身を劉鳳に預けてくるから。
 劉鳳は再びやわらかく微笑んだ。

 決して人に馴れぬ野生の獣が自分にだけ心許し甘えてくれているようで嬉しい。
 それが愛しい人なら尚更だ。

 自分を求めてくれるその気持ちが、どうしようもなく嬉しすぎて、劉鳳はカズマのことをいつまでも抱き締め続けていた。

 もう日は完全に沈んだし。
 そろそろ暖かな夕食でも食べて。

 そしたら今日もまた。

 一緒に並んで眠りましょう。

 暖かな。
 互いのぬくもりを確かめながら。



 一緒に並んで眠りましょう。



 いい夢見れるに違いない。

 ねぇ。
 そんな気がするでしょう。






























特に用もないし
おやすみだし

天気は良くて
日差しは暖かいから

あなたの
そのぬくもりを感じて

ぬくぬく ぬくぬく

陽だまりの中で眠りたい


きっと、いい夢が見れるから






















ねぇ、今日も一緒に寝てくれる?





























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み、短い…(汗)
しかも意味わからない(滝汗)
アア…コンナ駄文シカ書ケナイ。
タイトルが全然決まらなくて大変でした。
っていうか、休日じゃなくてもいいですね…これ。


-------------------------------- モドル ----