+ analogy +

























今隣りで眠る君は






























 その細い腕のどこにあれほどの力があるのだろうか。
 その細い身体は、なぜあんなにも傷つき。それでも尚、立ち上がることが出来るのだろうか。

 遠くを見る瞳は時折金の光を帯び、それは常は静かな悠久の命内包する焔色。静かなその瞳に。空虚なその瞳に、それでも尚熱く滾る衝動。

 全てに目が離せない。

 その細い腕はいったいどれほどの壁を壊してきたのか。
 その細い身体はどれほどの衝撃に耐え、傷に耐え、痛みに耐え。そうして何度立ち上がってきたのだろう。どれほど越えてきたのだろう。

 崩れた壁の…瓦礫の上を。

 その瞳はどれほどの哀しみに濡れたのだろう。
 どれほどの悲しみを見てきたのだろう。

 喜びは?
 幸福は?
 笑顔や…温もりは?

 見ることが出来たのだろうか?

 今、隣りで眠る君。

 その細い腕はますます細くなり。もはや人の色をしてはいない。
 渇いた…脆く風によって崩れていく砂の色。―――そう。キミの腕は日に日に崩れていく。

 まるで風化する遠い過去の夢のように。

 その細い身体はどれほど傷ついた?
 もう人の肌のなめらかさなどではなく。渇いた砂でできた脆い…脆い人形。
 とても美しい…人形。

 今、ボクの隣りで眠ってる。

 日に日に細くなり…それでもキミは倒れない。
 きっとキミが倒れることはないのだろうけれど…。それでも。

 もし、君が倒れたら、ボクはいつでもキミのその細くて軽いその身体を。
 まるで空(から)のように軽すぎるキミのその身体を。
 哀しいくらいに傷ついたキミを。

 支えるだろう。

 今は閉じられたその瞳。
 静かなその瞳に。
 空(から)のその瞳に。

 熱く滾る焔色の衝動。

 その瞳で見る者が僕であると知る度に、感じる度に。
 キミをそんな瞳にさせるのが僕自身であるというその事実に。

 僕は止むこと無い歪んだ満足心を抱く。


 まるで君の心を支配しているかのような錯覚。


 熱く滾る瞳でキミが僕を見るとき。
 キミの瞳が激しい衝動に震えるとき。
 もう一つになったキミの眼(まなこ)が再び揃いに開くとき。
 君はいつだってその心の中で僕を感じている。


 ―――熱く滾る疼きを。


 今、隣りで眠る君の。
 その細い首。

 僕が手をかけたら…その自由な心は、永遠に僕に縛られてくれるだろうか。


 僕が、君を閉じ込める。


 そうしたい。
 止(や)まぬ僕の衝動を知り、気味は尚も僕の隣りで眠るのか。

 それとも何も知らずにいるのだろうか。

 そうであって欲しいと叫ぶ心。
 僕の闇を知らないでいて欲しいと叫ぶ心。

 けれど、僕は君には知ってもらいたいとも思っている。
 僕の全てを知って欲しい。

 キミにはボクが理解できるだろうから。


 その細い首。

 手をかけたら……。


 キミは、ボクの者になるのだろうか。


































今隣りで眠る君に口付けたら

その細い首に手をかけたら



キミは、永遠に、僕の…モノ?































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キミは僕の壁































 その綺麗な瞳で、僕を見て欲しいと思った。
 一瞬で感じた。キミは僕の壁だと。

 けれど、そのとき僕の瞳には確かにキミが写っていたのに…君しか見えていなかったのに。
 君の瞳に僕は写ってはいなかった。

 悔しさに身が焼かれそうになり。
 僕はキミという壁を越えるために走り続けた。

 その内に気が付いた。

 キミは僕の壁で。
 ボクも君の壁で。


 そして僕らは互いに影だと。


 キミの影に潜むのは僕で。
 僕の影に潜むのはキミ。

 共に求めて止まず、けれど手を出すことができないもの。
 自分にとっての光によって生まれた影。
 手に取ったら離せない。

 キミの影は僕の光。
 僕の影はキミの光。

 だから僕等は互いに求めてる。


 この手に穿(うが)たれた消えない闇。
 もう人の肌の温もりを無くしたこの腕で、自分が掴みたかったもの。

 この穿たれた闇はきっと罰。
 あの人からの呪い。
 二度と消えない…自分を縛って離さないもの。

 それでも自由だと信じてた。

 キミも同じ。

 いったい何に縛られているのか。
 それは僕にはわからないけれど、キミも確かに縛られている。

 呪縛。

 二度と消えないもの。

 キミは僕の壁。
 今は隣りにいる。

 キミが僕を見るようになり。
 キミが僕のことを思うようになり。

 僕がキミの隣りにいて。


 僕は、キミという壁を越えただろうか。


 未だ越えることができずに。―――そんな勇気もないままに。
 キミから離れる勇気もないままに。

 僕はキミの隣りにいる。

 キミの瞳に僕が写る。
 その他大勢ではなく、僕がキミにとってたった唯一の存在として。

 そうなって初めて。

 僕とキミはほんの少し対等になった。



































キミは僕の壁
今漸く並び、次は打ち砕くのか

キミと離れる



そんな勇気もないくせに?
































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 一応劉カズのつもりで書いたんだけどなぁ…。
 気がついたら「劉鳳→カズマ」と「カズマ→劉鳳」どっちも入ってました。
 それでも劉鳳とカズマ微妙に違うようにしたのです(劉鳳の方がカズマを腐女子の妄想(倒錯的?)に求めてるのです/意味不明)

 タイトルの通り…でもないですね(汗)
 ほんとうは随想とかそんな意味のタイトルつけようと思ったのですが…響きが気に入らず、どうしてもこのタイトルが良かったのでそのまま。
 取り止めもなく二人があれこれ考えてます。
 上が劉鳳で下がカズマ。
 別に二つに分けても良かったのですが、一つにまとめちゃってもそんなに長い文にはならないだろう…と思ったら行幅狭くて意外に長く?という結果になりました。いや、別にもっと一行に文字を長く横並びにしても良かったのですが…はっきり云って変だったので(汗)

 時期としてはあの空白の3ヶ月辺り?
 お車(爆)の中で並んで眠る二人vv(←馬鹿)
 否…別にいつでもいいんですが(滝汗)
 お好きな場面をご想像下さい(←じゃぁ書くな)

 はじめ裏に置こうとも思ったのですが、ちょこっと雰囲気が暗いけどそんなきちんとした内容があるわけでもないので表に置きます(←だからこそ裏行きじゃないのか?)
 こんなものですが感想とか貰えたらとっても嬉しいです。


     ---------------------------------------------+ モドル +----