+ 幻 +
君自身が信じないと
何も本当にはならないから
「カズマ…愛している」 ただ一人。 君だけを。 静かだった。 暗闇が辺りを包み込み。 もう。 何も見えない。 「知ってる」 ―――それが嘘だってことも。 だって…信じて消えたその数は、もう。……数えられない。 親から始まって…実は、たいして多くもないのかもしれないけれど。 それでも。 けれどそれは数ではなくて。 ……それで十分。 愛なんて幻。 一瞬の。 夢。 「カズマ…愛している」 誰よりも。 君だけを。 その腕に抱き込まれながら、カズマは自身のその身を委ねるように瞳を閉じた。 静かに。 目の前に広がるものは変わらない。 ただ闇。 ―――それでも…その温もりが欲しい…―――。 「知ってる…」 その身を預ければ、支えてくれる。 たとえ嘘でも。 それでも…。 愛されたいと願ってしまうのです。 「劉鳳…」 ―――嘘でもいいから。一瞬でもいいから……――― せめて夢の中でくらい 温もりに包まれていたい 人肌の…。 カズマの言葉の続きは紡がれなかった。 その、熱い熱を持った唇に塞がれて。 熱に…身の内から溶かされていく…。 その冷えたからだのどこに その冴えた心のどこに それほどの熱があったのですか… 熱い甘い接吻(くちづけ)。 収まり切らなかった熱が溢れ出す。 唾液が顎を伝い、首筋を流れて通り…この身を這ってゆく。 それはどちらの熱なのか。 もう。 分からない。 瞳の熱 熱く見つめてくるそのまなざしと 熱く思いつめこまれたその言葉と この口づけと すべて知ってる 本物だと 「愛している…カズマ…」 「知ってる」 それでも…嘘だと思わせて でないと、 もう、 一人ではいられなくなるから 一人はこわい 「決して離さない」 一人にはしない。 暗闇の中。 カズマは絶った一筋泪(なみだ)を流した。 もう … 一人はいやだから ――― |
君自身がが求めなければ
何も手に入らないから
君が望めば
君は全てを手にすることができるから
君が信じれば
夢も幻も
すべて現実になる
それが、きみのちから
----+ コメント +--------------------------------------- ウラに置くほどじゃないのでオモテ。 意味不明と云われたらもう云い返せません。 でも一応劉カズ(のつもり) 温もりも愛も、誰かがいる安心感も。 一度でも知らなければ、そうだと感じることすらないのでは? とか思ったのです。 はじめから誰もいなければ、孤独も喪失も感じない。 逆に一度でも知ってしまえば、もう失うことができない。 淋しさ、哀しみ、恐怖とかいったものが自分を襲う。 だから与えられる温もりすら否定してしまう。 その温もりを再び失った時の虚無感に比べればマシだと思ってしまうから。 とかつまりそんなことを書きたかった。 寝る直前(寝てから?)思いついたからまぁ…そこはちょっとボケてる? 漠然とした喪失感とかを出したかったので、情景はあえて詳しく書きませんでした。 ----------------------------------------+ モドル +---- |