+ 隣 +
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もう随分と遠い過去のような気がする。 実は…そんなに時間が経っているわけでもないはずなのに。 少なくとも。 そう。少なくとも。それは、自分にとってはたいした時間ではない。 君がいた頃の時間に比べれば。 それはたいしたことがない。 君が僕にくれたもの。 僕にとっての君の存在。 それらを考えれば、君を忘れてしまうにはまだ早すぎる時間。 決して君を忘れたわけではない。 そんな日は決してこない。 なのに。 君との思い出が…随分昔のことのように思えて仕方がない。 なぜだろうね。 君とは何を話したのだろうか。 思い出せることは取り止めもないことばかり。 けれど。 それが何よりも今、いとおしい。 どうでもいい言葉があり。 そんなことばかり云い合って。 ふざけてばかり。 そうしてばかり。 そんな風に過ごした、君との時間が。 今、どうしようもなくいとおしい。 君の隣で見た風景は。 今も変わらずここにあり。 きっと、これから先も変わることなくあるのだと思う。 確かに、何もかも同じと云う訳ではないけれど。 まったく何も変わらずにこのまま……。だなんて。 そんなこと、あるわけないけれど。 君も、そんなこと望んでいるはずもないけれど。 それでも。 ここは、何も変わらない。 君が守ろうとしたもの。 愛したもの。 この世界。 僕が君の隣りで。 ただぼんやりと眺めていた風景。 君と共に過ごした景色。 ここは、僕や君と同じ。 平和と。 安定と。 穏やかな時や暖かな平穏や。 なんと云うこともない――そんな日常を望み、求め、過ごしながらも。 それでも日々混沌としたまま。 スリルと。 緊張と。 この身が張り詰め、張り裂けんばかりに高ぶる熱い思い。 危険と破壊。 そんなものを望む。 ここは何も変わらない。 世界の表と裏を同時に収め。 日々混沌としたまま。 きっと、あらゆるすべての現実を受け入れる。 僕と君のように。 世界から、あぶれた者でさえ。 君の隣で見た風景は。 今も。 相変わらずそこにあり。 何も。 変わりはしない。 今も。 これからも。 きっと…ずっと…―――。 たとえ何もなくなっても。 たとえ、君がいなくなっても。 僕が……いなくなっても。 何も変わらない。 ああ。 どうしてこんなにも遠く感じるんだろう。 どうしてこんなにも懐かしく感じるのだろう。 君と過ごしたあの日々。 君の隣で見たあの風景。 今。 すべてのことが。 ひどく昔に感じるよ……。 頬に風があたり 僕はただぼんやりと その流れる風景を眺めていた 君は僕の隣りでいつも笑っていて 時には怒っていて 呆れたりもして 今もそれは何も変わらない 僕の目に写る景色は何も変わらない あの頃と、何も変わらない……――――――。 酷く厳しいのに 酷く落ち着ける景色 結局 自分達はここが好きなんだと ここでしか生きていけないのだと そう、思う場所 ここは、何も変わらない そう。 ただ、君がここにいないだけ 僕の隣りに、いない……だけ…―――― |
君の隣で見た景色は
今も、何も変わらない
酷く厳しく落ち着ける
僕らの生きる…場所
----* あとがき *--------------------------------------------- カズマ→君島(いや、親友としてね/爆)な感じ(別に名前も何も出てこないけど一応そのつもりで書いたので) ちょっと急に思い浮かんだ(←寝る直前に)ので書いてみました。 時期として細かいことは余りありません。ただ君島が死んだ後なのは確か。本土とも劉鳳とも闘い終わった後かも(つまりは最終回後?)。 カズマっていろんな人の車の助手席に乗っていますよね?それを前々から書きたいなぁ…と思っていたのです。 書き始めたとき…っていっても、これ書くのに一時間もかかってないのですが(汗)は、劉鳳やクーガーや(あと水守の時もあったっけ?)いろいろの人のこと思い出させようとしてたのですが…。失敗。というか、予想通り、君島のことしか出来なかったって感じです。 そんな予想が漠然とありながらも、それでも最終的には劉カズにしようと思ってたのになぁ…。 ご意見ご感想いただけると嬉しいです。 ----------------------------------------------* もどる *---- |