+ あともう少しだけ +



















早く。少しでも早く。

大人になりたい――
























 せめてもう少し。
 どんなに心が大人になっても、身体が追いついてくれなくちゃ意味がない。
 もう少し。
 せめて、手を伸ばせば彼の頬に触れるくらいには、この身長が伸びてくれたらと。

 いつも、思っていた。

 「行かないで」って。
 「傍にいて」って。
 そう、あなたに走りよって、抱き着いて…泣いて云い縋りたかった。

 幼い子供のように。

 もしかすれば、あの頃の私には許される行為だったのかもしれない。あの頃でなければ、許されない行為だったのかもしれない。まだ本当に子供の頃。
 でも、私はそれをしなかった。

 あなたを困らせたくなかったから。―――ううん。違う。
 ただ、あなたに嫌われたくなかっただけ。

 しょうがないな。って、呆れられたくなかっただけ。
 子供には見られたくなくて、精一杯背伸びして我慢したの。

 ねぇ?今度は云ってもいい?
 あなたのその傷だらけの体に私の腕を回して、あなたの肌に触れて。
 云いたいことがあるの。

「傍にいさせて」

 せめてもう少し。
 あとほんのもう少しだけ。

 この背が空に近くなったら。
 あなたの強く綺麗な瞳に近くなったら。

 云っても、いいですか?






 いつかまた逢える。






 でも、まだ少し。
 まだ逢えないの。

 来ないで。
 逢いに来ないで。

 もう少し。
 あともう少しだけ。

 この背が伸びたら。
 あなたの透き通った亜麻色の瞳に近づけたら。

 今度は、私があなたに会いに行く。

 だから待って。
 もう少しだけ待っていて。
 すぐに大きくなるから。



 あなたと私が話すとき。
 あなたは、いつも私と目を合わせるために屈み込む。
 私がどれほど背伸びをし、どれほど顔を上げようとも、それは決して変わらない。

 あなたに近付きたいの。
 少しでも近くに。

 だから待っていて。

 すぐに、大人になるから。
 そして、今度は私が会いに行く。



 あなたの元へ―――。

























あなたのことを何より愛していると
あなたに伝えても、いいですか?
あなたに逢いに行ってもいいですか?
あなたを追いかけてもいいですか?

あとほんの少し少し大人になったら。そうなれたら…。
いつもよりほんの少しだけ、我侭を云ってもいいですか?


いつかまた逢える


でも、あともう少しだけ、ほんの少しだけ待っていて

私が、あなたの瞳に追いつく、その時まで――――



















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こめんと *--------------------------------------------------

 かなカズ小説〜。になってませんね。
 ただかなみがカズマを思っているだけの文になってしまいました。
 こんな小説お持ち帰りする人なんていないよ。と、思いつつも一応企画したので置いておきます(爆)ただ単に他の話を書く暇がなかったともいう(核爆)
 何はともあれ少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
 読んで下さった方いましたら、ありがとうございました。多謝。


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