+ 一人 +







眠い 眠い 眠い









 ゆっくりと瞳を押し上げていくと、そこにはいつも見慣れた天井が写る。
 自分の部屋でもないのに見慣れているなんて…。
 そんな苦笑とも嘲笑ともとれぬ笑いがこみ上げてくるのを、けだるい身体を抱えながら、カズマは感じていた。

 隣には誰もいない。

 シーツに残る、自分のものではないぬくもりだけが、隣に彼がいたことを知らせる限られた証。
 カズマはそこにそっと自分の頬を押し当てた。

「カズマ、起きたのか?」

 聞きなれた声は耳に心地良く、しかし胸に淋しい。

「カズマ?」
「もう…お前には抱かれねぇ」
「なっ…?!!」

 云えば、彼は慌てて駆け寄ってくる。
 このままそっぽを向いて不貞寝してしまおうか。―――ダメだ。絶対に逆切れして襲い掛かってくる。ただでさえ疲れてるのに。寝てないのに(今までのはぶっちゃけ気絶も同然だから)。
 カズマは劉鳳にその両の腕を伸ばした。

 いぶかしる劉鳳の表情を無視して、その首に腕を回し、ぐっとベットの上に引っ張り込む。
 バランスを崩した劉鳳がベットに片腕だけを突いてその体躯を支え、カズマに問いかけるような声を掛けた。

「カズマ…?」
「一人にすんなよな…」

 ぽつりとこぼしたカズマの台詞。
 劉鳳は目を見開いた。

「体あったけぇのに、なんかすぐ冷えてくる感じがするし…、手ぇ伸ばしても、何もないし―――」

 寒いのは嫌い。
 一人でいるのは、耐えられるけど、好きじゃない。
 淋しいことばかり、思い出すから。

 そばにいて。
 満足するまで抱きしめて。
 満足するまで包み込んで。
 離さないで。

 あなたの腕に抱かれたまま、二度寝を楽しもう。

 それは、絶対の安らぎがないとできないことだから。









このまま永遠に 眠らせて









----+ こめんと +-----------------------------------------------------

 短いです。私のスクライドレイアウトには珍しく、今回は青系で統一してみました---2003/04/15

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