◇ 護るべきひと ◇





---*20030912*--------------------------------------------------------------リオン---




それは、あいつの願いを叶える為。
オレには…。

あの日、オレは誓った。あいつをオレを目覚めさせてくれたあいつを護ると。
丘を流れる風に彼の月の様な銀の髪が靡いた。彼の眼の先には彼の居場所が、邪馬台国があった。彼はあの時の彼女の言葉を思い出していた。
「一緒に行こう!高天の都へ…」

「父上、オレはあいつを、壱与を護ってみせるよ」
彼は頭上に広がる暗い空に浮かぶ銀の月に、そこに見えた彼の父親、蒼志に言った。彼の顔に浮かんだ表情は力に満ちていて、穏やかで、明るかった。
「紫苑くーん!」
そんな彼の後ろから馴染んだ声が聞こえた。こんな夜の闇など簡単に跳ね除けてしまえそうな太陽のように明るい声。彼は声の主の方へと振り返った。銀の髪が月の光に輝きながら揺れた。
「壱与?…どうしたんだ?」
そう訊く彼の表情には先程までの力は写っていなかった。けれど彼の顔には少しだけ微笑みが見えた。壱与は駆けることをやめ、其の表情に一瞬だけ驚いて、そして微笑み返した。
「もう、何処に行ったのか心配してたんだから。…何してたの?」
「なんでもない」
彼は無表情に答えた。それを聞いて壱与は膨れっ面をして、
「何でもないわけないでしょー?」
といった。
「…お前、勝手に宮殿脱け出してきたんだろ」
彼は答える代わりにそう言った。其の言葉に壱与はドキッとする。
「まったく。ナシメ、今頃どうしてるんだろうな。そうとう怒ってるな」
彼は続けてそう言う。「うっ」と壱与が唸って宮殿の方を見やる。紫苑はふう、と溜息をつくと「そろそろ帰るぞ」と言って歩き出した。壱与は「あっ、待ってよー」と言いつつ彼の後を追う。
彼には護るべきひとがいる。そして場所が。其の笑みを居場所を失いたくない。夜空に瞬く月だけが彼の心の誓いを知っていた。
―オレには、護るべきひとがいる―

〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・=あとがき=
はじめまして。リオンです。書いてみたいな〜との思いからカキコさせていただきました。何だか意味不明なお話ですね(^-^;
今度書くときはましなものが書けるよう努力します。
長い目で見守ってくださいな。では、よろしくお願いします!





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