+ asuka +
--angels...c
















言葉にならない願い
叶って欲しくなどない思い
押さえつけても溢れてきて
君はそれを優しく受け止めてくれる




















 それ自体にはたいした理由などなかっただろうと思う。
 後から振り返ったときに、それはたしかに運命の分かれ目であったのかもしれないが、そうでなくとも、彼らの出会いは必ず訪れ、彼らが出会った以上は、いずれそうなっただろうと…多くの彼らを知る者たちは語るのだ。
 その瞳にどれほどの悲しみが写ろうとも、彼らを汁物にとって、それがどれほどまでに凄惨であろうとも、痛みに心が砕けようとも…彼らにとって、それは至福の運命であったのだと、至高の出逢いであったのだと、やはり多くの者が認めるのである。

 朱鳥の族長の子であるアスランが第三回に、父である朱鳥族長の代理として話会に出席するために地球に到着したのは、話会開始予定時刻の約五十時間前であった。
 界と界を結ぶ特殊な装置は、地球ではいまだ一部の研究施設にしか設置することができず、どうしても出迎えが貧相になってしまうのは否めない。地球側でアスランを含めた異界からの訪問者のお世話、接待を任されたのだという人物は、どうもそれを冷や汗をかくほどに気にしているらしいが、アスラン自身は特別そういったことに関心がなかったので、気にも止めないでいた。
 だからといって、わざわざそれを伝えてあげるような気遣いの神経をアスランが持っているわけでもないので、地球側のその人間の冷や汗が引くことはないのだが。

「少し、外を見学してきてもよろしいですか?」

 地球に滞在する間の当面の住居(宿泊地)に案内されて落ち着いてから、アスランは訊ねた。もちろん、好き勝手に街中を見学しようなどとは思っていない。
 それは魅力的なことではあるが、自分たちの存在は極秘なのだから。

「ええ、この敷地内でしたら、ご自由になさってかまいません」

 「この敷地内」というのは、地球では太平洋と呼ばれる広大な海に浮かぶ島の一つのことだった。隣り合うようにして大陸をのぞむことのできるその島は、大きな四つの島と無数の小さな島から成り立った一国家として、過去には存在していたらしい。
 実りも豊かで、時節の移り変わりによって変化するその景色は美しく、現在では皇族直下の別荘領として隔離されているとのことだった。
 現在この島に存在している地球人(地球における知的生命体)は、みな精霊界、此ノ花ノ国の存在を知っている関係者であるそうだ。

 許可を得て、アスランはさっそく、緑豊かな森林地帯へと飛び出していった。




 朱鳥は空を翔ける。
 眼下には濃緑(のうりょく)の絨毯。背中から生えた朱炎色の翼が、蒼く透き通る空に映える。吹く風が心地良く、彼はほんの少しだけ、悪戯心がうずくのを感じた。

 たしかに、それは彼を知るものから見れば珍しいことであった。
 まるで何か得体の知れないものに導かれ、操られたかのような行動であるようにも思われるが、彼を特によく知るものたちにとっては、今となってはそれもまた、あまりにも彼らしい行動に感じられるのも、たしかであった。

 アスランは、ほんの少しだけ、敷地外へ飛び出した。















The heart was likely to break to joy.















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 あとがき+解説 +---------------------------------------------------

 英訳に直すの面倒くさかったのです…が、直前に直しました。翻訳サイトで。だからあってるかどうか分からないです。原文は「歓喜に心が砕けそうだった。」です。
 今回も短いですが、長くなりそうな(っつうかきりがいい)のでここまで。
 なぜ?!なぜキラがでてこないの?!(むしろ私が一番あせってます)でも大丈夫。次はキラがでてくるから。
 序章も次で終わりです。序章で更新も終わったりして…(ちょっと冗談になってないかも/汗)
 「敷地内」は日本です。日本は丸々、皇様の別荘です(別にそんな思想は全然ないっスよ、念のため)
 ご意見ご感想など頂けたら嬉しいです---2003/08/05

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