「あいしてる」5題・切望編 5-るいじつのさきのきぼうにすがる-

 僕らの道は分かたれた。同じ道を隣り合って歩いていようと、僕らの視線は交わらないのだから、後悔はない。
 たとえ背中合わせに歩いていようとも、隣り合っていた時よりも希望は増している。
 だから誓うのだ。
 決して相容れぬと。
 そして注意するのだ。
 決していかなる障害がこの身に立ちはだかろうとも、今歩むその道を疑おうとも。決して、決して。別の道に逸れることはしないと。
 真っ直ぐと、真っ直ぐと。
 一歩一歩、確実な明日へ。一歩一歩、確実にその道の先へ。
 希望はある。
 背中合わせに歩き続け、やがて、僕らはその道の真ん中で向かい合うのだ。
 見えぬ道の先が永遠に続いているとは、限らないのだから。
 選んだこの道と、捨てたその道が、実は同じ一本の道ではなかったなどとは、誰にも言えぬのだから。
 希望は僅かだ。
 光の果てに闇があるように。闇の果ては光であるように。
 夏を日々を重ねればいずれ冬が廻ってくるように、冬の日々を耐えれば夏に還るように。
 この一日を重ねたその先に、あなたと共に在る日がくるなんて、そんな希望だけが、捨て切れない。




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二人はそうして日々を重ねる。
written by ゆうひ 2008.11.23